この伊勢参りの最後にどうしても立ち寄りたかった場所があり、内宮から足を延ばしました。
タイミングのいい電車を逃すという失態を犯し、閉館までの時間を逆算するとタクシーを飛ばすという選択肢しかなく、タクシー代に5千円も払う(電車代なら数百円)というビックリな展開でしたが、立ち寄ったことは大正解でした。
その場所は、「斎宮博物館」
かつて伊勢神宮から少し離れた場所に実在した「斎宮」の場所にある博物館です。
ここで最初に目にしたのが天皇の皇女が卜定によって斎宮に選定され、京を離れて伊勢へと下る群行の様子を再現した映像資料でした。
天皇の代替わりなどで先代の斎宮が退下すると、亀卜と呼ばれる亀の甲を火で焙って出来たヒビで判断する卜占によって新斎宮が決定します。この卜定によって選ばれた皇女が天皇の命を受け、斎宮として伊勢へと下ります。
この再現映像のストーリーの中では天皇の娘である皇女が幼くしてそのお役目を賜るのですが、目の前で繰り広げられる物語を「知っている」感覚があったのです。
こうやって天皇である父と今生の別れをすること、でもそれは決して悲しいことではないこと、このお役目を果たせることは喜びであると幼いながらに受け入れていること、離れていてもきっと繋がり続け、いつも思い続けてもらえると信じていること、そんなことが自分の思い、自分の感覚であるかのように手に取るように伝わってくるのです。
「あぁ、きっと、いつかの世で、私はこれをやったんだ。」
「もう一度いつきをやるんだな。」
冗談にしても畏れ多いことですが、とても腑に落ちる体感がありました。
その後、斎宮の生活についての展示を色々と目にしながら、「記憶」はないけれど「体感覚」として馴染みのあるものを感じ、とても不思議な、それでいて妙に納得のある時間を過ごしました。
(続く)